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覚せい剤(メタンフェタミン、アンフェタミン)
3,4-methylenedioxymethamphetamine

S、スピード、シャブ、ポン、ガンコロ、ヒロポン
 

背  景   薬理作用→

 メタンフェタミンやアンフェタミンは、Stimulants(中枢神経刺激薬)の代表的なものです。
 
 アンフェタミンは、それが発見されてから50年間使用されることはありませんでした。その後、低血圧やうつ病に応用されるようになります。第二次大戦中、イギリス、アメリカ、イタリア、日本、ドイツなどで、眠気に対する対策としてアンフェタミンが供給されました。兵士は、この薬物が気力を昂進させることにすぐに気付きました。

 日本では、終戦後の混乱期にメタンフェタミン(ヒロポンは商品名です)が市販され、乱用、依存が広まり社会問題にまで発展しました。この第一次乱用期は、1954年(昭和29年)の覚せい剤取締法の施行により、急速に沈静化します。

 アメリカでは1960年頃、アンフェタミンの乱用が若者の薬物乱用に関する主要な問題になっていました。その頃から、アンフェタミンは”スピード”と呼ばれるようになります。スピードというのは、この薬物が乱用者の身体全体をスピードアップするところから来ていると言われています。
 
 最近の青少年の間での覚せい剤の流行の特徴の一つは、摂取方法が”アブリ”と呼ばれる方法が拡がっていることです。これは、アルミ箔の上に薬物を乗せしたからライターであぶってその気化した煙をストローで吸う方法です。ハワイからはやり出したと言われるこの方法は、それまでの注射の持っていた”やばい”イメージを払拭し、覚せい剤の危険な雰囲気を薄めてしまう効果がありました。このアブリで覚せい剤を乱用する層は、従来のように注射器を使用する層とはその属性も異なっていると言われています。しかし、最近の日本の研究では、注射で摂取した場合と”アブリ”で摂取した場合を比較すると、精神病症状はむしろアブリの方が早くから出現することが分かっています。※1

 覚せい剤に関する研究では、覚せい剤精神病の発現について、欧米と日本では少し異なった結果が得られていますが、これは欧米での研究が主にアンフェタミンを対象に、日本での研究はほとんどがメタンフェタミンを対象に行われたからだと言われています。日本で覚せい剤と呼ばれるものは、大半がメタンフェタミン、ヨーロッパなどではアンフェタミンが主流です。メタンフェタミンは、アンフェタミンの10倍の薬理作用があると言われています。

 アメリカの法律では、メタンフェタミンはScheduleUに分類されています。これは、ScheduleTより有害性、依存性が少ないからと言うことではありません。ScheduleUというは、有害性、依存性についてScheduleTと変わりませんが、医療用に使用されることがある薬剤を指しています。
 
  1. 松本俊彦:最近の覚せい剤乱用者の臨床的特徴について.精神経誌 102:498-513,2000